梅雨真っ盛り、鮮やかだった新緑に深みが増す頃。
春の花が雨の恵みによって、小さな果実を実らせ始める季節は、木々の間に密やかな楽しみを見つけることが出来る。


春に釣鐘状の白い花を咲かせたブルーベリー。
6月頃から実を付けはじめ、淡い黄緑から、赤紫、甘酸っぱい香りと味のする濃紺の実へと熟していく。その変化は本当に美しく、自然の御業(みわざ)のすごさを感じることが出来る。

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ブルーベリー(ツツジ科)




アントシアニンやポリフェノールが多く健康食品の材料にも使われるスグリ。
高さ1-3m程の低木の茂みを作り、枝には鋭いとげを具えているものが多い。果実は液果で半透明、種がうっすら透けてみえる。ジャムやシロップ等に加工して利用される。


スグリ(スグリ科)
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根に根粒があり、やせ地でもよく育つヤマモモ。
雌株と雄株があり、実は暗赤色に熟し、甘酸っぱく食べられる。樹皮はと褐色染料にもされる。葉は6-12cm、幅1-3.5cmで若い木や切られた枝にはぎざぎざのある葉が出る。ヤマモモの仲間は約7000万年前から現れ、その化石の葉に切れ込みがある。ぎざぎざの葉が出るのは一種の先祖返りと考えられる。

藤沢市教育文化センター刊「校庭の樹木」より

ヤマモモ(ヤマモモ科)
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雨の恩恵を受けた果実は甘酸っぱく成熟し、自然から頂ける贈り物を、昔から人は様々な方法で楽しんできた。
傘をさして走り回った子供の時のように、雨の中小さな実を捜しに外に出てみよう。 



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次号もお楽しみに!
千鶴