松本千鶴の「やすらぎのボタニカルアート」

優しく温かなやすらぎ        日本のボタニカルアート         Gentle, warm, peace of mind    Japanese Botanical Art

2016年11月


秋が深くなると赤々していた実の表情も微妙に色抜けし、渋く落ち着いた色に変化してくる。

今回はサルトリイバラ科に属する二つの植物を載せてみた。 



サルトリイバラは晩秋の大磯町生沢で採集したもの。雌雄異株で、秋に直径7mmの球形の液果が赤く熟す。関西では柏餅を包むのに用いたり、戦時中は葉を巻いてタバコの替わりにしたそうだ。

2点の画像はクリックすると大きく見られます

サルトリイバラ(サルトリイバラ科)
chizuru71



イタリアンベリー(ヨーロッパ南部原産 常緑木本性ツル性)との出会いは鎌倉の花屋さんだった。ドライにして天井からぶら下げてあったイタリアンベリーに心惹かれ 描いたものだ。

イタリアンベリー(サルトリイバラ科)
chizuru74-1


以上2つの植物はツル性木本(モクホン)であること、小さなトゲがあること、実が放射状につく点など共通点が多く、同じ科に属するということが頷ける。

私は植物分類学をちゃんと学んだわけではないが、色々な植物に触れているうちに、同じ仲間の植物だということはなんとなく予想がついてくるものだと感じている。



お読みいただきまして ありがとうございます。
次号もお楽しみに!
千鶴.

    mixiチェック


私は平塚へ引っ越す前、大磯に住んでいた。

大磯の西側、不動川沿いの生沢(いくさわ)という所。
すぐ近くに神揃山(かみそろいやま)があった。建売住宅を見学に行った時、ついでに小さな丘陵ともいえる神揃山に登って、そこの植生の豊かさにすっかりほれ込んでしまったのだ。

今回はいずれもこの神揃山で採集したものである。



ノイバラは日本の野生のバラの代表。花期は5月。白または淡ピンクの花弁の可憐な一重咲きで秋に実がなる。暑さ、寒さ、乾燥にも強く刈り込まれてもすぐに芽を出すたくましさを持つ。バラの園芸品種に房咲き性をもたらした原種。

2点の画像はクリックすると大きく見られます

バラ(バラ科)
chizuru60



ムラサキシキブは林のへりなどに多く、秋に紫色の実をつける。名の由来は、平安時代の女性作家「紫式部」ともいわれるが、もともとはムラサキシキミと呼ばれていたのが、ムラサキシキブになったという。シキミとは実がたくさんなるという意味だ。

ムラサキシキブ(クマツヅラ科)
chizuru61-1


前回ご紹介した徒然草に「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは。」とつづられているが、私も花は満開の時のみをめでるのでなく、芽吹きの時、花の時、実をつける時、枯れゆく時、それぞれに独特の美しさがあり、それぞれの美しさを深く味わいたいと思っている。


お読みいただきまして ありがとうございます。
次号もお楽しみに!
千鶴.
    mixiチェック


日々の買い物や散歩の途中、町の花屋の店先で、はっとする植物との出会いが時々ある。

平塚駅南口の花屋さん“ODiER”でみつけたナナカマド。7度かまどにいれてもなお燃え残るのでこの名がついたそうだ。これで作られた炭は備長炭の中でも極上品とされている。

2点の画像をクリックすると大きく見られます

ナナカマド(バラ科)
chizuru58

          odier_logos  ☚クリック「ODiER」HPへ


平塚駅北口の花屋さん“花長”で、盆栽仕立てになっているサンザシの鉢と出会った。中国原産で赤い実は生薬として果実酒、ドライフルーツなどの用途があり、盆栽の素材としても好まれている。

サンザシ(バラ科)
chizuru
        
  HANACHO  ☚クリック「花長」HPへ


こうした植物との出会いは、また新たな作品への意欲に繋がる。



・・・・・ ご紹介 ・・・・・

以前「五月を喜ぶ」「梅雨のともだち」の中で紹介したアトリエ ラ ヴィで、古典文学講座を担当されている友人 山田喜美子さんがこのたび御本を出版されました。

60分で名著快読 徒然草 (日経ビジネス人文庫)

60分で名著快読 徒然草(日経ビジネス人文庫)
山田 喜美子著
日本経済新聞出版社
2016.10.04出版


徒然草に触れるのは高校の古文の授業以来ですが、今を生き抜く知恵がわかりやすい図版と共に語られていてとてもおもしろく読みやすい1冊でした。千鶴

・・・・・・・・・・


お読みいただきまして ありがとうございます。
次号もお楽しみに!
千鶴.

    mixiチェック

このページのトップヘ