松本千鶴の「やすらぎのボタニカルアート」

優しく温かなやすらぎ        日本のボタニカルアート         Gentle, warm, peace of mind    Japanese Botanical Art

2016年07月


盛夏の候。厳しい暑さに体力も尽きそうな季節だが、青い花に出会うと、猛暑をも吹き飛ばすような爽やかな涼しさを感じることができる。


「つる性植物の女王」と呼ばれる多年草のクレマチス。

原種は約300種類存在すると言われ、日本、中国、ヨーロッパ、ニュージーランド、アメリカ合衆国テキサス州など世界各地に分布。ヨーロッパではバラと組み合わせ、オベリスクやアーチに絡めたり、ワイヤーで誘引し壁面を這わせたり、今、イングリッシュガーデンの主役を飾るのが人気。


クレマチス(キンポウゲ科)
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青く美しい花弁に見えるが、実は「愕(ガク)」 
園芸用のクレマチスを指して、鉄仙(テッセン)風車(カザグルマ)の名を使うこともある。野生種のカザグルマは日本にわずかに自生しているそうだ。




海外では"ベビーブルー"といい、男の子の誕生を祝うラッキーカラーとされているブルースター。

ブラジルからウルグアイにかけて分布する半つる性、毎年花を咲かせる多年草。日本に入ってきた当初は切り花として流通し、後に鉢植えや園芸植物として普及。寒さに少し弱い。


ブルースター(ガガイモ科)
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花色は不思議な感じのブルーで、このブルーが、だんだんスモーキーピンクに変化していく様がとても美しい。


真夏に " 涼 " を感じさせてくれる青い花の色に、暑さを乗り切る力をもらえる。




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千鶴
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夏本番を迎えるのもあと少し、ジリジリとした強い日差しを受けながらも、夏大好きとばかり、ますます元気に花を咲かせる植物達をみると、こちらも元気をチャージされる気がする。



和名の由来は夕方から艶っぽい花色で咲くことからとされるユウゲショウ。

実際には昼間でも開花した花を見られる。 
原産地は北米南部から南米。日本へは明治時代に観賞用として移入されたが、現在は野生化し、関東地方から西に分布。道端や空き地、川原等、至る所で普通にみられる多年草。

ユウゲショウ(アカバナ科)
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北海道から沖縄までの海岸の砂地に咲くハマヒルガオ。

つる性で、茎は砂の上を這って広がり、砂の中には地下茎を長く横に伸ばして進みながら増える匍匐(ほふく)性の多年草。世界中に広く分布。 葉の質厚く艶があり、水分の蒸発を防ぎ、海水の塩分や強風、乾燥等、海岸の厳しい環境から葉を守っている植物。

ハマヒルガオ(ヒルガオ科)
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現在、東海道線沿いにも見られることから、かつてはもっと広く砂丘が広がっていたことが伺える。



和名は藪を覆って枯らしてしまうほどの生育の旺盛さを持つヤブガラシ。

道端や庭、林の周りなど、あらゆるところから出てくる、つる性の多年草。
北海道西南部から南西諸島、国外では東アジアから東南アジアに分布。葉は5枚の小葉からなる鳥足状の複葉が互生、それぞれの小葉は縁にのこぎり歯のある先のとがった卵形。花は葉と対生する散房状の集散花序で、徐々に開花する。

ヤブガラシ(ブドウ科)
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若芽は茹でてあく抜きすると食用になる。生を天ぷらにしても美味しい。漢名は「烏歛苺(ウレンボ)」といい、利尿・解毒・鎮痛などに薬効のある生薬として利用される。



暑さを力にして咲き続ける植物達の様子には脱帽である。




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梅雨明けから初夏にかけて花を咲かせてくれる植物に出会うと、季節の変化を実感できる。


ヨーロッパ原産で地中海沿岸に分布するの一年草のヤグルマギク。 
小花がたくさん集まった頭花。花びらの先端は大きく切れ込み、矢車を連想する花姿を生み出している。最高級のサファイアの色味の花が、トウモロコシ畑や麦畑の中で逞しく咲いていたことから「コーンフラワーブルー」というらしい。 花の青の美しさは格別である。


ヤグルマギク(キキョウ科)
日本では一部でヤグルマソウと呼ばれた時期があったが
ユキノシタ科のヤグルマソウと混同しないように現在ではヤグルマギクで統一されている。
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ヨーロッパ原産。フランスとスペインの国境にまたがるピレネー山脈などに分布する多年草のクロバナフウロ。 濃い黒紫の花色はめずらしく、とても魅力的である。バラの下草としてもよく栽培される。

クロバナフウロ(フウロソウ科)
花の色より和名は黒花風露。 変わらない愛情という花言葉を持つ。
果実の形状から長いくちばしのgerano(ツル)に因んで、ギリシャ語ではゲラニウム・ファエウム。




乾燥した草原や、道端などによく見られる多年草のヤマホタルブクロ。 
日本固有種で東北地方南部から近畿地方東部に分布。初夏に大きな釣鐘状の花を咲かせる。日陰でもよく育ち、匍匐枝(ほふくし)を横に出して増殖する。


ヤマホタルブクロ(キキョウ科)
外見はホタルブクロと変わらないが、蛍袋は萼のつけ根(萼片の間)がめくれて反り返っているのに対し、
ヤマホタルブクロ(山蛍袋)はその部分が盛り上がり丸く膨らんでいることで見分ける。



不快な蒸暑い季節だが、花との出逢いにより初夏の風が感じられ、やすらぎの時が生まれる。



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